J-クレジット制度 炭素排出権の取引に幻想を抱いてはいけない。

今朝のミーティングで、
各担当業務の進捗確認をしていたら、
ひとり雲行きの怪しいスタッフがいた。

なんでも、
J-クレジットの審査機関から、
計算方法の誤りを指摘され、
資料の作り直しを指示されたそうだ。

J-クレジットといっても、
クレジットカードの仲間じゃなくて、
炭素排出量の取引をする日本国内の制度のことである。

このJ-クレジット制度は、
もともとは経済産業省( 国内クレジット制度)と
環境省( オフセット・クレジット(J-VER)制度)が
似たような仕組みを別々に行っていたものを一本化した制度である。

簡単に言うと、
削減したCO2をクレジットにして、取引すると言う仕組みだ。

その考え方の基本は、
プロジェクト方式となっていて、
そのプロジェクトをやらない場合をベースライン排出量として、
プロジェクトを実施した場合の排出量と比較し、削減された分を認証する。

認証されたらプロジェクトに対して、
検証をすることで、
ようやくクレジットとして登録することができる。

手続きがチョーメンドウなんです。

我々は、認証機関に出す申請書の作成を
お手伝いする支援機関の再委託先として仕事を受けている。

制度運営体制は、
次の図にしめすようにとても格式高いモノになっている。

Jクレジット.体制png

 

そして、なんと、
そのプロジェクトの方法論として計算方法が、
種類ごとにガチガチに決められている。

https://japancredit.go.jp/about/methodology/

驚くことに、
その方法論の説明は、
どっかの学会の論文のようだ。

太陽光の計算例

太陽光の計算例

ここまでの制度設計をして、
かつ事務手続きには、
国の100%補助金を使われているにもかかわらず、

ぜんぜん国民に周知されていない。

 

そもそも、この制度は、
東京の銀行系シンクタンクのインテリジェンスな研究員が
国連の炭素排出枠の取引制度を参考に考え出した

「壮大な社会実験」なのだ。

 

作ったクレジットは買う人がいないので、
カーボンオフセットで使うより、他に方法が無いんです。

Jクレジット活用方法png

この制度、
企業のCO2削減を義務化しない限り、
普及はないでしょう。

ここまで、分かり易く書いたつもりですが、
なんのことか分からないと思います。

それだけ、庶民からかけ離れた、
アカデミズムな制度なんです。

でもこれで食っているホワイトカラーが東京には100人ぐらいいるでしょう。

炭素排出権取引は、売りたい人よりも
買いたい人がいないと成り立たないのである。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です