今年も昨年度に引き続き、
補正予算で新型の省エネの補助金が出る。
経産省のエネルギー合理化補助金は、
毎年マイナーチェンジされ、いきなりマトリクス表が
出てくるような複雑怪奇なルールになってしまった。
民間企業にとって、
省エネに関する投資意欲は確実にあり、
特に電気設備やボイラー関係は
コンクリート構造物が60年の寿命を持つのに対して、
15年から20年で全面的に更新しなければならない。
当然のことながら、その設備更新の際は、
当初よりも省エネ性能の高い設備を導入すべきだ。
補助金を出すことにより、
先端的な省エネ技術の普及促進に繋がるだけでなく、
建築物や社会インフラの長寿命化を図ることができる。
しかし、民間の商業施設は、定期借地権の関係から、
20年ぐらいで解体することを前提とした建物も存在する。
それらの建物(多くの場合全国チェーンの店舗)は、
ほとんど鉄骨のプレハブのようなもので、
最初から取り壊すための建物だ。
バブル期流行った博覧会のパビリオンと同じように、
空調設備を更新する前に本体が取り壊される。
日本のドラッグストアーが典型的であり、
これらは赤字になればすぐに退店することが前提だ。
振り返って、エネルギー合理化の補助事業では、
ドラッグストアーが最も数多く採択されている。
内容は、ほぼLEDへの照明の更新であるが、
これが15年間使われる保証はない。
建物は、地域の財産と考えて、
長く使われる建物に補助金を出すべきではないだろうか。
山口県の宇部市では、
元銀行の建物が市民ホールとして活用されている。
銀行の建物は金庫もあるのでとても頑丈に作ってある。
筐体は100年は持つだろう。
このような物件に補助金を出して、
リニューアルすれば空調設備も最新式になり、
いつまでも使い続けることができる。
地域別の補助金採択件数のグラフを示す。
地域の中核となる県に集中している。
グリーンテクノロジーが広島と福岡に拠点をおく意味が
これで、理解していただけると思う。
しかし、実際にはチェーン店が多いので、事実上の
補助金を受けた会社がどこにあるかは、
更なる分析が必要である。