電力の自由化は高圧契約では、既に実施されているが、
来年4月から低圧契約も自由化される。
今まで、
地域別に決められた電力会社と契約していた、
一般家庭も自由に電力会社を選択できる。
と言っても、
今までよりも有利な条件が無いと、従来の電力会社を変える事は無い。
だから、
新電力は、
従来よりお得な料金設定や付加価値を付けたメニュー
を提示すると予測される。
一方、
従来の電力会社はそれに備えて、顧客の繋ぎ止めのため、
今までに無いサービスを準備している。
今月25日の中国新聞に、
「中国電力とイズミがポイント提携」
という記事があった。
コメントから推察すると、中国電力側からイズミに提案したようだ。
中電幹部は、
「地域密着の店づくりを進めるイズミはパートナーにぴったり」
と説明している。
私は、逆に「一番まずい相手と組んだな」と感じている。
もともと、
電力会社には一般家庭に営業できるチャンネルは存在していない。
これからも、市役所が水道の営業はしないだろう。
(だから飲料水のビジネスが伸びたとも考えられる)
中国電力の家庭向けの作戦がこれだけだとは、思わないが、
この提携では次の2点で問題だと思われる。
1.顧客層が一致していない
スーパーは競合が激しく、イズミのシェアは50%以下なので、
中国電力の客とは同じではない。
他にも、
イオンやフジ、CGCグループのフレスタやマルイなどの中堅のスーパーがあり、
イズミと組めば他とは競合になる。
イズミは顧客の囲い込みのために「ゆめか」を出しているので、
中電が競合店と提携する事は避けたいだろう。
電力会社は、
今まで地域独占が当たり前だったので、その事が理解できない。
また、
イズミは「超大型店舗のゆめタウン」が特徴で、
旗艦店は九州や四国にもある。
この点では、九州電力や四国電力との競合になる。
むしろ、この展開が本物の自由競争に繋がるかもしれない。
旗艦店:各地に出した同系列の店の中で、そのブランドを代表して中心的な存在となる店
2.ビジネスモデルの違い
スーパーマーケットは、
毎月、定額のお金を徴収し、世帯に直接訪問するビジネスモデルではない。
待ちのビジネスだ。
電気料金は、
携帯電話や新聞料金やNHK、ガス料金などと同じく、月払いなので、
その方面のビジネスとコラボするメリットがある。
そして、
世帯ごとに訪問して契約更新するには、NHK並の戸別訪問が必要になる。
保険屋さんとも相性がいいだろう。
競合となるガス会社などの新電力は、
電気料金が平均以上のヘビーユーザーの世帯をターゲットにして、
お客を奪う戦略だ。
既存の電力会社にとっては、
利益率の高い顧客をいかに守るかがポイントになる。
いずれにしても、
既存電力会社の地域独占が崩れるかどうか?
が鍵になる。