中小企業家同友会全国協議会のドイツ・オーストリア視察報告
「エネルギーシフトで地域づくり、仕事づくりを」
を読んだ。
この冊子は視察の参加者(ほぼ中小企業の経営者)による感想文だ。
視察旅行なので、先方も良いところを見せているとは思うが、
にわかには、信じられない話ばかりである。
人口4千人のど田舎の寒村オーストリア・ギュッシンッグが、
首長が変わって、エネルギーシフトに取り組み、
50企業1100人の雇用を生み出した。
そして、再生エネルギーのトップランナーになった。
市の税収は6年で5倍になったと言う。
この町は、まさにディズニーランドではなく、
エネルギーランドとして世界中からの視察で賑わっている。
これを見た日本人は、
日本でもできるのではと、興奮して帰ってくる。
福島の事故の影響で「脱原発」にエネルギーシフトした。
なぜ、広島ではできないのか?
よく言われるのは、
フランスの原発の電気を買っている。
ということだ。
それなら、
中国地方では、なぜできないのか?
中国地方で原子力発電所がなくても、
他の地方から、電気を買えばよい。
できない理由の第一は、
日本はドイツと違い連邦制ではないので、
東京の政府が、日本の隅々までの施策を決める。
そのため独自のエネルギー戦略ができない。
しかし、
これはもう一度、維新でも起きなければ変えようがない。
もう一つが、
エネルギーシフトに最も重要な、
電熱供給の習慣がない。
長らく、
電力会社は電気の供給だけを担ってきたので、
熱供給のノウハウもインフラも持たない。
そもそも、
発電すると必ず熱エネルギーを伴うが、
大規模集中型発電所で熱需要の少ない地域に
発電所を作っていたので、熱は海に捨てていた。
再生可能エネルギーで分散型発電所を実現するには、
電熱供給の一体化した仕組みが必要だ。
私は、
スマートコミュニティ構想の仕事の中でも、
このことを一番に主張していたが、理解できる人は少なかった。
電熱供給こそがエネルギーシフトの最重要テーマだ。
発電所の周りに住宅やホテルがあるのが、電熱供給の理想形だ。