脱炭素ビジネスを加速する令和4年度第2次補正予算のポイントat経済産業省

昨日、2022年11月9日令和4年度第2次補正予算(案)が各省庁のHPで公表された。
今年度は、円安とウクライナ戦争によるエネルギー価格の高騰で、省エネや太陽光などの再生可能エネルギーなどのへの投資に対する補助金が例年にも増して拡充している。
ただし、例年 補正予算で新規の事業も見受けられたけれど、今年は直接エネルギー高騰に対する補助金が新設されているだけで、設備投資系の新規案件はない。

もっとも、省エネ、太陽光の設備投資の補助金も終了し、そのほとんどが申請が殺到し採択率が低い状態だったので、本予算と全く同じ事業が再び補正で追加されたというパターンが多い。

経済産業省の内容を見てみると、価格高騰対策と省エネルギー、その他として太陽光の補助金がある。
注目すべきは、来年から大きく変わる省エネ法に合わせて、本予算では補助金も大きく変わると思われる省エネの補助金について、今回は前回と全く同じ内容で予算が追加されているようだ。今年、不採択になった方は再チャレンジのチャンスだ。ただし、(3)の指定設備の補助金の補助率は、機器の性能ではなく、一律1/3になっていることには、注意が必要だ。(レーザー加工機の優遇は消えた)また(4)のエネマネ事業者がらみの対策は、来年予定の補助金とルールが同じになっている。

また、太陽光発電の補助金に関しては、経産省、環境省共に蓄電池の併設が義務化されているようである。むやみに太陽光発電を増やしても、電力需要の平準化が出来なければ、発電した電気を捨ているだけになるし、系統への負荷も大きくなるからだろう。

1.エネルギー価格高騰への対応と安定供給確保

(1)価格高騰対策

①電気・ガス価格激変緩和対策事業【3兆1,074億円】

ロシアによるウクライナ侵略等を背景としたLNG等の燃料価格の高騰により、今後も電気・都市ガス料金の上昇が見込まれる中で、小売事業者を通じた激変緩和措置により、家庭や価格転嫁の困難な企業における電気・都市ガス料金の負担の軽減を図る。

②燃料油価格激変緩和対策事業【3兆272億円】

長引く原油価格の高騰が経済回復の足かせとなり、国民生活や経済活動に悪影響が生じるのを防ぐことを目的として、燃料油価格の激変緩和対策事業を実施することで、ガソリンなどの燃料油の卸価格抑制を通じて、小売価格急騰の抑制を図る。

③小売価格低減に資する石油ガス配送合理化補助金【138億円】

遠隔検針等が可能なスマートメーターや配送車両等の導入、充てん所の自動化等に資する設備導入により、LPガス事業者のコスト低減及び経営体質の強化を図る。

④小売価格低減に資する石油ガス設備導入促進補助金【16億円】

LPガスの小売価格低減に資するため、需要家側のLPガスタンクの大型化等による燃料備蓄を推進し、需要家及びLPガス事業者のコスト低減を図る観点から、LPガスタンク等の導入支援を行う。

(2)省エネルギー

①省エネルギー設備への更新を促進するための補助金【500億円】

※国庫債務負担含め総額1,625億円 省エネ性能の高い設備への更新に係る費用を補助することにより、エネルギー価格高騰に苦しむ中小企業等の省エネ対策を促進。複数年の投資計画に切れ目なく対応できる新たな仕組みを創設し、まずは今後3年間、集中的に支援を実施する。

②住宅の断熱性能向上のための先進的設備導入促進事業 【900億円】

既存住宅において、熱損失が大きい開口部に対し、高性能設備を用いた改修等を補助することにより、断熱性能を向上させ、省エネルギー性能の確保を図る。

この補助金は新しいパターンだと思う。従来経産省はエネルギーを使わない設備に補助金を出してこなかったのに、断熱に補助金を出すとは、国交省と被る事業だが、住宅から業務系に広がればよいと思う。

③高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金【300億円】

家庭部門の省エネ対策を強力に推進するため、家庭でのエネルギー消費の約3割を占める給湯分野について、消費者等に対し、高効率給湯器の導入に係る費用を補助する。

④中小企業等に向けた省エネルギー診断拡充事業【20億円】

工場・ビル等の省エネ診断の実施やそれを踏まえた運用改善等の提案に係る費用を補助することで、中小企業等の省エネを強力に推進する。

省エネ診断は地域プラットフォームと省エネセンターの二つの事業があるが、省エネセンターの方は予算不足で途中で申し込みを中止していたので、これに追加の予算が付いたのかもしれない?

(3)その他

①需要家主導型太陽光発電及び再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業費補助金【255億円】

エネルギー危機に強い経済構造への転換を図るべく、ゼロエミッション電源を最大限に活用する観点から、地域共生を前提に、需要家が小売電気事業者及び発電事業者と一体となって取り組む太陽光発電の導入や再生可能エネルギー設備への蓄電池の併設の取組について支援を行う。

②再生可能エネルギー導入拡大に資する分散型エネルギーリソース導入支援事業【250億円】

調整力の確保等に向けて、定置用蓄電池、水電解装置、ディマンドリスポンスに必要な制御システム等の導入を支援することで、再生可能エネルギーの更なる導入拡大や電力需給の安定化を促す。

③SS(サービスステーション)の事業再構築・経営力強化事業 【180億円】

カーボンニュートラル社会に向けたSSの事業再構築・経営力強化を推し進め、今後も残り続ける石油製品の需要に対して安定供給を行うための体制を確保するため、SSの設備投資や人材育成を支援する。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です