2022年8月24日のGX実行会議で示された「日本のエネルギーの安定供給の再構築」によると、ウクライナ戦争による、世界のエネルギー争奪戦によるエネルギー危機、および日本のエネルギー政策の遅滞により、日本のエネルギー戦略は大きな見直しを迫られ、原子力発電へ軸足を動かした。
ロシアが天然ガスを抑えているから戦争が続けられる
今回の資料では、原発の再稼働、新規建設ばかりが話題になるが、一方でロシアと中国によるエネルギー世界制覇の状況が浮き彫りになっている。欧州はロシアの天然ガスに大きく依存していたため、侵略を進めるロシアへの経済制裁を実施しても、肝心のロシアの資金源である天然ガスの受給を止められない。ロシア経済はめぼしい産業はないけれど、エネルギー資源の輸出で成り立っている。その根本を断ち切れないことが戦争の長期化を許しているとも言える。
そして、再生可能エネルギーの分野においては、そのパネルの世界の生産量の7割が中国で製造されている。風力発電タービンメーカーシェアも世界の5⃣割だ。
どうして、
中国に再生可能エネルギーの機器の生産を抑えられているのか?
もともと太陽光発電は日本が技術的に先行していた、しかし中国政府は自国のメーカーに手厚い補助をだして、工場の大型化により、世界一安い太陽パネルを輸出させ、アメリカや日本の太陽光発電の企業が撤退を余儀なくされた。
このまま手をこまねいていると、発電量は増えてもキーテクノロジーは中国が握っているといいう状況に陥るだろう。地政学的な紛争のリスクが高まる中で世界のサプライチェーンの見直しが必要だ。
日本は再生可能エネルギーの固定買取制度で、資本家や太陽光発電の施工業、太陽光ゼネコンを儲けさせた。ところが肝心のパネルメーカーは全滅だ。かっては技術立国を目指していたが、製品の性能より、生産性を向上させるとか合理化でコストを下げるという分野では、人件費や労働基準法の制約から中国に大きく遅れを取ってしまったのである。