環境省の脱炭素経営のガイドブックが役に立たない理由

地方自治体の地球温暖化対策推進計画

環境省は1998年の京都議定書前後から、温暖化対策法に基づき、地方自治体向けの温室効果ガス削減地域推進計画のガイドブックを策定し、地方自治体に推進計画の策定を求めてきた。
地方自治体の場合は、規模の大小はあっても、組織形態とやっている事業はほぼ同じなので、一冊のガイドブックで通用する。その結果、全国の自治体で同じような金太郎飴計画書が作られた。(ちなみに最初にパイロット事業で環境省から委託を受けたのは野村総研)

私も地方の環境コンサルではあったけれど、いち早くこの仕事に特化して、コンサルタントとして全国あちこちの自治体の地域推進計画の仕事の委託を受けて(プレゼンテーションコンペが多かったけど)、打ち合わせと策定委員会への出席で飛び回っていた。

なんとなく、新幹線や飛行機に毎日乗っていると一流のビジネスマンのような気分になって盛り上がっていたのだけれど、会社の主力の廃棄物コンサルト違って、施設を作るというハードの仕事がないので、事業規模も小さいし、計画書は法律のために一応作るというだけで、誰が読んでくれるのかさえわからないものだった。

企業の脱炭素経営

環境省は、今ふたたび、今度は企業向けに脱炭素経営の計画書作成を求めている。当時も温対法的には企業も温暖化対策の計画書を作るという努力義務はあったのだけれど、環境報告書からCSR報告書となり、たんなる企業のやってますアピールのような形になり、肝心の温室効果ガスの排出量の計算や削減計画の具体的内容などは記載されなくなった。そのため、その委託を受けていたのは、技術系のコンサルタントではなく、出版社などのもともと企業向けのパンフレットや広告を作っていた会社になっていた。その最大の会社が凸版とか電通、博報堂だ。

そして、今度は欧米からの影響で、企業も精緻な数値計算を伴った脱炭素計画を作ることを求められてきた。そうなると大企業の仕事は、欧州ルールを熟知した外資系コンサルティングファームの主戦場になってきた。

これは、中小規模には無理じゃない

中小規模の企業の脱炭素経営のノウハウは

日本の場合は99%が中小企業、労働者の7割が中小企業で働いているという。その状況で欧米の大企業の事例をベースにした脱炭素経営ガイドブックが役にたつのだろうか?企業は業種が違えばビジネスモデルも違うし、規模によって組織形態も異なる、当然エネルギーの消費形態も様々だ。それが一冊のガイドブックで計画を作れというのは雑すぎる。中小規模の場合は、東京都が過去に作った省エネマニュアルのように、業種別にガイドラインを作るべきじゃないだろうか?そうなると、外資系コンサルティングファームには無理だ。従来から地域の省エネを推進してきた現場主体のコンサルタントに任せるべきだ。

「環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律(環境配慮促進法)」第2条で規定される特定事業者は、同法第9条により環境報告書を作成し、毎年度公表することが求められています。

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